全国通訳案内士試験が来月に迫ってきて「あ〜もうあきらめようかな〜日本史と地理、受かる気がしない」と愚痴っていたら、夫が「本で覚えるって限界があるから、もう京都とか行って実際に寺とか回ってきたら?」と神のような提案をしてくれました。
その気になって、さっそく次の日、「ねぇ、今週末、奈良に行ってきていい?」と聞いたら「・・・えぇ? 今週?」と乗り気じゃない返事。もしかして、あの提案って、お酒飲んで気が大きくなってただけ? でもチャンスの前髪をぐいっと掴んだ手を離さない私、行っちゃいました〜奈良に!
ひとり旅なので荷物は史上最小限、通勤よりも軽いバックパック一つでフラッと奈良へ。最高すぎる。できるだけ多くの「得点源となる知識」を詰め込むため、地理と日本史の試験に出題されそうな名所を回れるだけ回ることを目指しました。備忘録としてメモしときます。
【奈良 1日目】
東大寺
奈良駅からバスで東大寺へ。奈良が初めてなので、まず鹿が町を闊歩していることにびっくり。「東大寺は華厳宗の本山であると同時に、8つの宗派それぞれの研究所が設けられた『学問寺』でもあった」というところに感銘を受けた。宗派にこだわらず垣根を超えて研究するとか大事だよね。だから東大寺は重要なのだな(と勝手に解釈)。ところで、私の計画では2日間で奈良の有名なお寺を全部制覇する予定なんだけど、東大寺の中を移動するだけで既にだいぶ時間かかってるんだが。「奈良のお寺ってこんなに広いのか・・」
春日大社
参考書で読んだ「興福寺の僧兵が強訴の時に春日大社のご神木を持っていた」という物騒なエピソードが印象に残っていて、春日大社と春日山原始林は直感的に行ってみたかったところなのだが、こんなに街から近いとは。もっとずーっと山奥かと思ってた。小さな赤ちゃんを抱っこしてお宮参りしてるご家族がいて神々しかった。
平城京跡地
東大寺とは街の反対側にある平城京跡へバスで移動。バスを降りると、教科書で見たような南門がバーンと建っていて、だいぶ離れた場所に、ポツーンと第一次大極殿院がある。その間をつなぐのは草原というか何もない土地で、ガンガンに照りつける太陽の中を歩いていたら、砂漠を歩いているような(ちょっとつらい)気分になった。近鉄奈良線が遺跡の真ん中をぶち抜いて走っているのは面白いんだが。とにかく、ここで想定外に歩くのに時間を取られ、さらにバスが来ず、飲み水も無くなって、スマホの電池も無くなりかけて(すべて準備不足のせい)、17時になってしまったので、名所をすべて巡る計画は諦めざるを得なくなった。平城京のサイズ感を体で理解したので良しとする。
興福寺
夕飯を食べた後に、街をぶらぶら歩いていたら「→興福寺」という看板が。夜9時ぐらいだったけど境内に入れて、五重塔はライトアップされて、荘厳な雰囲気。夜風が気持ち良く、夜のお寺、最高。帰り道、獣のにおいがするな〜と思ったら唐突に大量の鹿様が芝生の上でお休みになられていた。
【奈良 2日目】
法隆寺
昨日の時間不足を反省し、朝7時半には法隆寺駅に到着。早すぎてバスがないので歩いて法隆寺へ。1.5キロ。雨。途中「法隆寺カラオケ教室」「イカルガ建設」などがあって、地名がいけてるからいちいちかっこいい。法隆寺に8時に着くと、ほぼ一番乗り。お寺の構造がわかってないから、「金堂」が大事な建物だと思わず、「ここはまあ、いっか」とスルー。途中で気づいて引き返す。うっかり、ご本尊を見ないで帰るところだった・・・。金堂って、本尊を安置する「本堂」のことなんですね。教科書にも載っていた「釈迦三尊像」にご挨拶。私にでもわかるオーラがある。「夢殿」は「試験に出たんだよな〜」と感慨深く眺める。
中宮寺
法隆寺の隣にある中宮寺にも、見覚えのある「如意輪観世音菩薩」があり、手を合わせていたらじーんとくるものがあった。帰り際、お寺の方が急に「さくらちゃん!さくらちゃん!」と大きな声で呼び掛けていたので「誰?!」と振り返ったら、猫だった。住職さんがお世話されているそうで、岩合さんの番組にも出たそうな。あまり出てこないレアキャラだと聞いて写真を撮った。
法輪寺
法隆寺から法起寺に行く途中にあるのどかで小さなお寺。雨だし、既に足が疲れていたのでサラーっと見て退散・・
法起寺
緑の香りがする景色のいい田舎道を結構歩いて到着。思っていたよりずっとこじんまりとしたお寺。ハスの花が咲いていた。十一面観音菩薩像はお顔立ちがくっきり。お客さんは私ぐらいしかいない。バス停はあるのだがバスが1時間半に1本くらいしかなく、結局、また歩いて戻ることに・・。自転車のレンタルなどできるならそれが一番かも。それか、行きはタクシーにするとか。行き帰り歩きは距離的にきつい。
東寺
最後に京都で1つどこか行けないかな〜と考えて、東寺をチョイス。ウェブサイトで「現存する平安京の遺構は、唯一、東寺だけ」というフレーズを見つけ、平城京跡を見た後にピッタリだなと。境内に、司馬遼太郎の「京都の旅を始めるのは、歴史が古い東寺からがしっくりくる」というような言葉があって、「歴史が分かっている人はこういうふうに京都巡りを楽しむんだなぁ」と学ぶ・・。
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今回、寺社を集中的に周って思ったのは、お寺や神社には専門用語が多い。多すぎる。建物の呼び方、宗派の名前、菩薩とか如来というような大仏様の呼び方、などなど。日本語なのに、説明を読んでもさっぱり頭に入らないのは多分、これらの専門用語のせい。まずは用語を整理するところから始めないと先に進めない、ということを学んだことが収穫。
それにしても、奈良って素敵。街全体がお寺の境内みたいなゆったりとした雰囲気で、サイズ感もちょうど良くて、人もやさしい。外国人をガイドする日が来たら、ぜひ奈良に泊まることをおすすめして、ゆっくりご案内したいなと妄想中。それと、回りきれなかった唐招提寺と薬師寺にも行きたいし、明日香村にも足を伸ばしたいです。